映画なまもの

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【映画感想】マンチェスター・バイ・ザ・シー【時間について】

マンチェスター・バイ・ザ・シー』を観てきました!

1人の男の崩壊と、その後の物語に心打たれました!

 

 

あらすじ

ボストンでアパートの管理人として暮らすリー。日々、アパートの管理の雑務や、住宅のトラブルを処理して過ごす。そんな彼に突如、実兄が倒れたという連絡が届く。そして、リーはかつて自分が捨てた故郷"マンチェスター・バイ・ザ・シー"に戻ることになる。

 

 

率直な感想


1人の男の崩壊とその後を、回想シーンを見事に使い描き切った秀作だと思う。

主人公のリーは一見、なに不自由のない男に見える。仕事も出来る、しっかりと自分の意見も言える、生活も安定してるし、女の子からもモテる。ただ他の人と決定的に違う事は、人との関わりを持とうとしないとこである。彼に好意を持つ人や、気にかけてくれる人は多くいる。ただどうしても、自分から新しい関係を作ろうとせず、相手を必ず突き放すのだ。
彼が何故そうなってしまったのか、その理由は挿入される過去の回想によって語られる。故郷に帰ったリーが否応もなく思い出してしまう自身の過去。その過去と向き合い、立ち向かっていく。その過程の描写、話運びが素晴らしい。

 

主人公の過去と、回想シーン

 

この映画では過去の回想シーンが多い。しかも、突然入ってくる。また、明らかに回想と分かるような表現はなく、ほぼ現在のシーンと同じように映される。(映画の冒頭も過去の描写から始まる)その為、注意して見ていないと、今がどの時代なのか分からなくなる。この演出には、最初は戸惑ったが、映画観終わった今は、その意味がわかった気がする。それは主人公の時間に対する考え方である。つまり、多用されるシームレスな現在と過去描写によって、主人公にとって、現在と過去に大きな隔たりはなく、主人公は未だ過去に大きく囚われてることが表現されているのだと感じた。

 

主人公の時間の捉え方

 

前述の通り、この映画では過去の描写が多く、それによって主人公が過去に縛られていることわかる。しかし、現在の主人公は過去にすがって生きてるわけでない。どちらかというと"無"に近い。過去を悔いて、現在を懸命に、未来に希望を持って生きているのでなく、ただ生きているのである。ある意味では死んでいるのかもしれない。その証拠に主人公は人と会話が出来ない。昨日の事も今日の事も明日の事も興味がない為、話すことが出来ないのである。

主人公の時間に対する考え方の変化

しかし、映画の中で人との交流して行く中で、気持ちに変化が生まれていく。その場しのぎで生きて行く主人公だったが、人と関わる事で、少しづつ過去を清算して行く。そして、映画の後半の、あるシーンにて、現在に過去が追いつく(ソースを焦がす部分)。そして、一番のラストシーンで、主人公は未来ある少年に対して、今までには想像できなかった無かった話題を振る。ここの流れが素晴らしく、とても良かった


終わりに

 

リーが"I can't beat it"と言って泣くシーンが印象的だった。どうしようもない過去に打ち勝てないなら、過去を背負いながら別の新しい未来を進む事を教えてくれる優しさに包まれた映画である。

脚本書いた人。天才。