映画なまもの

映画のこと、カメラのこと、そして、日々のことを書きます。

【就活】何者【活動】

個人的にガッツリ!ハマった作品。

 

朝井リョウは同級生で、恐らく同じ年に就活を経験している。本作も本人に経験によるところが大きいので、似た体験をしているであろう僕の心に思いっきり突き刺さる。

 

するしない、上手くいくいかないも含めて、就活の形は人それぞれ。だけれども4、5年前の就活を経験した人は誰もが持ったであろう就活に対する不安と葛藤が非常によく表現されている。

 

大勢の競争者の中で自分だけ特別であろうとする就活生の一人ひとりの考え方や行動。就職が出来るかわからない不安から少しでも逃げ出そうと、人より自分を大きく見せようとしたり、人の揚げ足ばっかり取ってる奴は実際に沢山いた。

 

でも就活で早々と内定を取るのはそういう他人と自分の比較に躍起になってる人じゃなく、自分自身だけを見つめて何が出来て、何になりたいのかをしっかり考えた人。

外から傍観して評価するのではなく、自分の気持ちをハッキリさせて具体的に行動を起こしてきた者が結果を出す。そして、自分と他人の比較する人間は、そこでも考えを改められず、頑張った奴になんとかイチャモンをつけて、自分を優位に置こうとする。ただそれで何か変わるわけでもなく、焦りは止まらず、もっと自分が安心できるマイナスな何かを探し、嫌な人間になっていく。

 

他人と比較続ける人も、最初は誰も悪い奴じゃない。ただ、真っ直ぐで素直な人達を就活は悪い方向へ曲げてしまうパワーが絶対にある。その事実の描写が非常に良かった。

その描写の1番の見せ場としての、主人公が自分のやってきた事に気がつく瞬間を、演劇として振り返るシーンが良かった。分析力に自信があったはずなのに、就活中に一番分析すべき自分を客観視出来てない事実を、学生時代に一番打ち込んだはずの、演劇に置き換える演出はエグいし、シビれた。すがって頼りにしてたものが、舞台のようにハリボテで偽物だったこと。自分では沢山の拍手と賛辞を送られると思っていたものが、人に決して見せられるものではなかった事。
大事な舞台から逃げ出すそのシーンは、自信の喪失感がズバッとわかって、非常に印象的でした。

 

沢山書き過ぎてるのは、映画の影響をバキバキに受けてるせいですね。お恥ずかしい。ともあれ、頭の中にあるうちは、何だって傑作だそうなので、レビューも言葉や文字して伝えて、行動にしていくようにしたいです。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

 

面白かったです。