映画なまもの

映画のこと、カメラのこと、そして、日々のことを書きます。

【東京国際映画祭】キングコング対ゴジラ【町山智浩】

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東京国際映画祭にて「キングコング対ゴジラ」を鑑賞してきました!
4K・デジタルリマスター版です。

 

 

鑑賞前、古い映画は、どうしても「映像に迫力が足りない」と感じてしまう性分で、面白くないかも...とすごい不安でした。でも、実際に作品を見てみると、映像がとても綺麗ですごかったです!これが50年前に撮影されたものとは思えないくらい、鮮明な映像だったことにまず驚きました。

 

今回の上映のため、保存状態の良いフィルムを修正して、デジタル上映にしたそう。鑑賞後のトークショーで、中野昭慶特撮監督が「フィルム映画は上映するたびに劣化していくもの。現在残っているものはもうボロボロのはずなのに、今回の作品は初めて試写する0号に近い綺麗さ。感動した」とおっしゃていたのを聞いて、50年前の名作にこんな形で出会えたことに感謝いたしました。

 

 映画はとても笑える場面が多く、終始会場が笑い声で溢れていました。
キングコングゴジラともに恐ろしい怪獣であることは間違いなのですが、どちらも愛らしく、心をがっちりと掴まれました。

 

ストーリーは突如として現れ、東京を襲うゴジラ。そこにソロモン諸島で、たまたまキングコングを見つけた広告代理店が、宣伝目的でキングコングゴジラを戦わせようと東京に連れてきて、怪獣達の大決戦が始まる......と、このあらすじだけだと、何のこっちゃわからないと思いますが、見てみると、不思議とスッと入ってきます。基本的に話運びが上手く、テンポ良く話が進むのですが、それに加えて、昭和の独特の言い回しやギャグ達、そして、コミカルな怪獣達が観客を飽きさせず、最後まで、とても心地良く見ることができます。特に多胡(タコ)部長というキャラクターの一挙手一投足は非常に面白く、彼の登場が非常に楽しみでした。

 

映像は、アナログの温かみというか、それしか出せない良さがありました。ゴジラが氷山から飛び出すシーン、怪獣達の戦う場面は、物理的なカメラと被写体の距離や、物の重みをしっかり感じることができ、特撮ってすごいなと思いました。特に生きた本物のタコが小屋や人を襲うシーンは、CGでは越えられない何かを感じました。(そのシーンは生簀ごとタコを買い上げて撮影するほど、円谷監督が力を入れていたそうです。)今のCGと比べてしまえば、やはり見劣りする部分もあるのですが、CGには出せない良さが、まさしくそこにはあったように思います。

 

 鑑賞後、中野昭慶特撮監督と映画評論家の町山智浩氏、そして笠井信輔アナウンサーでトークショーを行われました。映画の裏話から、撮影秘話など非常に楽しかったです。

 

笠井さんが上手くフリを作って、中野監督が話し、町山さんがさらに深めの質問をして、話題を掘り進めていく様は、見ていて気持ちよかったです。

 

また、町山さんは中野監督と話したいのか、諸々の準備の間やフォトセッション最中も、しきりに中野監督に話しかけている姿が印象的でした。本当に映画が好きなんだなと思いましたし、深い考察や解説はこう言った意欲というか、好奇心から来ているのかなと思いました。見習いたい。

 

トークショーの最後に、中野昭慶特撮監督がおっしゃていた「アナログの時代から、デジタルの時代に変わっていくが、映画を面白くするものは一緒で、こだわりと粘り。これから映画を作っていく人はそれらを大事にして、おじさんを楽しませる映画を作って欲しい」というお言葉が印象的でした。上映終了後も握手会を開いて、次の世代を育てようという中野監督の言葉と行動が、とても沁みました。僕も頑張らなきゃなぁ。

 

長くなりましたが、とにかく映画って楽しい!と改めて思わせる鑑賞会でした。

そして、映画との出会い方の大切さを再認識した場でもありました。

もしこれをテレビ放送やビデオで見たら、自分がどういう風に感じたのかはわかりません。

もしかすると、昔の特撮映画で終わっていたのかもしれません。

結果として、この作品は僕にとって印象的なものになりましたが、やっぱり映画はなまもので、見る時間・場所・人で大きく左右されてしまうと思います。より良い環境で作品に出会う事はやはり大事ですね。このブログが、誰かの映画との良い出会いに繋がったらいいなぁとぼんやり考えています。

 

 ゴジラポーズの皆様です。ありがとうございました。

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