映画なまもの

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【ARRIVAL】メッセージ感想【黒笹カマ】

あなたの人生の物語

 


映画『メッセージ』予告編

あらすじ

  • 巨大な黒いばかうけ、または笹かまぼこが突如地球に出現。
  • 黒い笹かまは攻撃はして来ない。ある一定の期間なら中に入れる。
  • どうにかして黒い笹かまぼことコンタクトを取る必要がある。
  • 言語学者に頼もう。主人公呼ばれる。頑張る。

 

感想

映画を観て、すぐに感じたのは画面の見えづらさ。常に薄暗く、それに加えて画面は妙に手前にピントがあっており、遠くのはボケてよく見えない。黒く濁った靄の中にいるような感じで、気味が悪く居心地が悪い。

そこに更に謎の巨大な黒い笹カマがやってきて、先の見えない言語読解合戦に突入する。

このエイリアンと接触まで大きなアクションや、ド派手な演出は全く無い。しかしながらピンっとした緊張感は常にあり、体には力が入りっぱなしだった。ドキドキが止まらず、ただただ未知なる物への恐怖がつのる。そう見せる音楽、演出ともに素晴らしいと思った。

その後、謎が明らかになって行き、彼らと分かり合う過程で、少しづつ気持ちが楽になって行く。

しかしそこには待っているのは人類にとっては大きな武器だが、一方ではひとりの女性にとっては抱えきれないほどの悲劇だった。エイリアンからの武器の正体に気がついた主人公は、使命感から大きな決断をする。ここはサクサクと進むのだが、彼女自身のことを考えれば、心理的にかなり追い詰められていた状況だと思う。彼女はそれを愛と想いによって乗り越えて行く。その熱さにグッと惹かれた。ひとりの母、女性の強さを描く物語として非常に優れていると思った。

また、この映画のひとつのテーマであろう言語による思考の違い「サビア=ウォーフの仮説」にも非常に共感できた。細かい単語の有る無しもそうだか、言い回しや話し方は言語によって大きく変わる。また、言語を学ぶ事はその国の人・文化を学ぶ事にもつながる。もし現状を打破し、世界平和を手に入れるには、それぞれの国がそれぞれの国にとってのエイリアンを理解する必要があるのかもしれない。