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【映画】デトロイト【感想】

「It’s TIME we knew」「デトロイト 映画」の画像検索結果

 

キャスリン・ピグロー監督による1967年にデトロイトで起きた「アルジュ・モーテル事件」の映画化を観てきたので、感想報告です!

 

 

 

あらすじ


デトロイトで警察による黒人に対する不当な捜査に対するの暴動の中、モーテルでの発砲音をきっかけに、白人警官たちがモーテルに押し寄せ、現場に居合わせた若者達を監禁、拷問した事件の発生から事件の収束までを描く。

 

雑観


作品全体は当時の映像を含み、ドキュメンタリータッチで描かれている。映画の中で描かれている事が実際に起きたことというだけでも、かなりインパクトがあるが、2時間強の映画で、約50分程を占める「アルジュ・モーテル事件」を追体験するシーンは強烈だった。理不尽で、絶対的な暴力の前に、為す術がない状況は観ていて、非常に胸が苦しい。また、様々な条件が重なりあって、その悲惨な事件が生まれる過程を丁寧に見せてくれるので、単純な暴力描写に留まらず、状況を理解するからこそ、胸にくるものがある。

 


この映画の悲惨さは"映画"の為に誇張されていると思う人もいるかもしれないが、今回の制作にあたり、実際に事件に居合わせた白人女性がアドバイザーとして、付いている。若干の脚色はあるにせよ、かなり事実に近い内容になっていると思われる。

 

「It's TIME we knew」


この映画が作成された経緯は、ピグロー監督が、白人警察による黒人の殺害事件が今なお続いている事に対して、一つの答えとして、作成されたという経緯がある。
アメリカでは今も年間300人程の黒人が、警察官によって殺害されているという。その中の7割は武器を持たない無防備な黒人であり、尚且つ殺人を犯した警察の多くは罪に問われていないのが現状である。

 


アメリカでのタグライン(宣伝文句)は『It's TIME we knew』
(「私たちがそれを知った時」という意味)

事件の凄惨さは映画の中で十分に伝わるが、50年前の"私がそれを知った時"から何が変わったのか、変えられたのかということを考えるともっと恐怖するものがあるし、辛く感じるものがあるのではないだろうか。

 

フィクション映画は作者のテーマを読み解く面白さがある。一方、事実に基づいた映画は単純に学びになるし、より深く考えさせられる。『デトロイト』は勿論、後者の事実に基づいた映画になるが、ピグロー監督は過去の事実を忠実に再現することに留まらず、映画の隅々にメッセージを残してくれているのが、とても渋い。
特に主人公のラリー・リードが、暴動により観客が誰もいなくなった後、ステージ上で、一人で歌うシーンは、グッとくる。誰かに声を届けよう必死になる姿と、そのメッセージに熱くなれる。(ジョン・ボイエガが、若者に暴力では何も解決しないと諭すシーンも良かった)

 

ジョン・ボイエガ

 

この映画の中で、ジョン・ボイエガとウィル・ポールターの演技は凄かった。

ウィル・ポールターに関しては、今回の映画を観て、彼を嫌いにならない人はいないくらい、本当に嫌な奴だったし、ジョン・ボイエガは好きにならない人はいないくらい、真っ直ぐで誠実だった。特にジョン・ボイエガに関しては、デンゼル・ワシントンを彷彿とさせるような、凄み・オーラがあった。この二人がまだ24,25歳だというのだから、驚きである。今後にめちゃ期待。

 

 

 

 

 

ワーッというエンターテイメントではないが、じっくり渋い、そして考えさせられるとても良い映画でした。