映画なまもの

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【復讐】手紙は憶えている【おじいちゃん】

 

原題:Remember

 

おじいちゃん x 認知症 x 復讐

 

眠りに落ちると1日前の記憶を無くしてしまう老人ゼブ。

ある朝起きると友人から、自分には復讐しなくてはいけない相手がいることを伝えられる。そして、それを実行すべく、ターゲットと居場所が書かれた手紙を渡される...

認知症のおじいちゃんが、因縁の相手に復讐しに行くという斬新な作品。

ストーリーだけさらっと読むと、主人公は元傭兵だとか、凄腕のスパイだという設定でもありそうだが、そんなものはない。

 

おじいちゃんは本当にただのおじいちゃんで、しかも何でもすぐに忘れてしまうのだ。

そんな感じなので、道中で自分の旅の目的を忘れるのは当然として、電車で親切にしてもらった人に対しても、ちょっとお昼寝をして起きると、誰はてめぇは!と暴言を吐く始末。復讐のために購入した銃も、翌日には何でこんな物騒なものがこんなところにあるんだ!とめっちゃ怪訝な表情を浮かべる。こんなにも見てる側がヒヤヒヤする復讐ものもなかなかないのではないか。

 

そんな応援したくなるおじいちゃんゼブ。とにかく、友人から託された手紙のみを信じて、自分の復讐相手を探し求める。その姿は間違いなく復讐に燃えるかっこいい主人公なのだが、実際は、施設を抜け出した拳銃持ち徘徊おじいちゃんなのだから、普通の人からしたら怖いことこのうえない。ちなみに、復讐に対しては貪欲で、目的意識はめちゃめちゃ強いので、下手に邪魔するとヒステリックになったりして厄介である。

 

そんな関わり合いになりたくない復讐おじいちゃんの話なのだが、ラストは予想を裏切って、意外なところに行き着く。前半はイかれたおじいちゃんのお話、最後はミステリーとして非常に怖く面白く、全体としてとても楽しめました。

 

クリストファーノーラン監督の『メメント』と話の内容が似てると思う方もいるかもしれませんが、主人公の設定が大きく違ったので、僕はそこまで気になりませんでした。